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作品集

加藤シオー 作品集  - 内的思考の旅 -

- 画業35年の集大成 / オールカラー 95点 -
限定500部 (36×29cm) / 132ページ / 豪華製本

作品タイトル

 

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定価 20,000円 (本体 19,048円+税)
Muland International & Gallery Shioh 発行

 

 

  これまでの私の歩みを振り返ってみるとき、アメリカの壮大な大自然との出会いに見出した「美と永遠」。そして、高橋佳子先生(TL人間学提唱者)との出逢いの中に、既に「内的思考の旅」は始まっていたと思えます。
  「魂は永遠の生命として在る」「アーティストである前に一人の人間であれ」「魂、人生、営み、を統合して生きる生き方」「人は何処から来て何処へゆくのか」これらの高橋先生の言葉に限りなく惹かれ、私は、今迄の人生を受け止め心を変革し探求してゆく「内的思考の旅」へと誘われているのです。

 




135×100cm
ミックスメディア

  この作品は、1981年~83年のバークレーシンフォニーのポスターのために製作したものです。その頃、ケント永野氏が秀でた指揮者、ベイエリアの輝く星として脚光を浴びバークレーシンフォニーを大事に育てていた頃の、交友の原点となったものであり、私にとっての新たな原点でもあります。青年だった彼の音楽観、哲学観、人生観に、私は新鮮な特別な才能を感じたものです。
当時、中庭のあるギャラリーシオーで、毎月の様に、十数名のオーケストラを指揮するケントによるコンサートを開催しました。

  ある日、ケントが「シオー、宇宙の波動を音符にした曲を”シオーコンチェルト”にしたよ。オーケストラをバックに演奏会を開こうよ。ピアノで演奏するのは、シオー自身だよ」と、ちゃめっけたっぷりに、ポンと私に楽譜を渡しました。それは色彩豊かに描かれたデイビッド・ベリエッサによる美しい楽譜でした。ピアノを弾いたことの無い私が、白い鍵盤は叩いてはいけないという約束のもと、昼と夜の演奏会の主役としてピアノ奏者となった体験は、現代音楽とはいえ、今思い出しても冷や汗一杯の、なんと若かりし日の楽しかった思い出でしょうか。
  彼の指揮する姿は、今でも颯爽と優雅でしかも力強く美しく、今、輝かしい指揮者となって、世界の人々に絶賛されています。当時、そのような後ろ姿の彼の正面には、壮大に広がる宇宙のイメージがふさわしく思い、私の永遠のテーマでもある「宙」の作品を制作したのです。
  高い位置からしたたる銀色の飛沫は、深い宇宙空間へ吸い込まれ、そして星々となって昇華し、今も渾身の力で輝き続けているのです。

 



「種の記憶5」
55×55㎝
ミックスメディア
深層の大地から

新しい芽吹きが誕生する

いと小さき 草々の語らいにも

ものいわぬ漆黒の岩石の中にも光る

永遠に変わらぬものの存在

深遠なる創世の記憶

永遠の種の記憶

 



「大地の歌1」
80×80㎝
ミックスメディア
丘陵の頂上より、能の小鼓のよーぅよーぅというかけ声と ポーポーポーという透明なやわらかな響き、びょうびょうと鳴る尺八の音、 大鼓のおー、おー、カーカーとさえざえと鳴り渡るかけ声と音色が風に乗って、 どこまでも渡ってゆく。
私は1メートル大の大筆をしっかりと真一文字に前にかかげ、静かに力強い足取りで丘陵を降りて行った。

広大なる漆黒の丘陵に、8畳大の5枚の真っ白なキャンバスが、間隔をおいて並んでいる。
1枚目のキャンバスに、渾身の力を込めて、大自然よ呼応せよと「地」の文字を滴らせた。

 



「いろは歌5
80×80㎝
油彩



色は匂えど 散りぬるを

我が世誰そ 常ならむ

有爲の奥山 けふ越えて

浅き夢みし 酔ひもせす



9世紀末 弘法大師伝

 



「古代の語らい7」
80×80㎝
ミックスメディア


私は古代の日本の人々が現してきた「x」に惹かれて、作品の中に描き続けてきました。

これまで、ほのかに現れたクロスとしての 神の印という想いを現していました。

そして「x」が、神の封印として古代の日本だけでなく、 いくつかの世界の文明の中で使われて来た不思議に出会い、驚きを感じたものです。

古代からの呼びかけの波動が、 連綿と今も私に届けられていることが 温かく懐かしく感じられるのです。

 



「天地の詞」
16×16㎝
ミックスメディア



あめ つち ほし そら やま かわ

みね たに くも きり むろ こけ

ひと いぬ うえ すえ いわ さる

生うせよ 榎の枝を 慣れいて

9世紀末 平安時代 詠み人知らず

この詠み人知らずの「いろは詞」は、私が18歳頃よりずっと惹かれ続け作品に現してきたことばです。私はこの詞にふれるたびに、なんとも心が温かく懐かしいようなおだやかな心になるのです。
自然に偏在するすべてのものよ、永遠の生々流転の中で、妙なる響きを奏で輝き共存せよ - 。名も知られぬ古人が、森羅万象の中に響きわたる幽けき声を聴き分け文字に織り込んだ祈りのことば、なんと明るく美しい響きでしょうか。私が惹かれてやまない永遠のテーマです。

 



「時空の糸9」
70×70㎝
ミックスメディア


人 自然 宇宙

一切が見えない糸に結ばれてこの世に存在する

太古から 時空を超えて 存在する

見えざるものの 存在

大いなるものへの憧れが 時空の糸となる

人と人とが結ぶ糸

人と自然 人と宇宙 人と神とに 結ばれる糸

 



「生命の余白に3」
45×50㎝
ミックスメディア



言葉には何か不思議な力がはらまれているようです。
そしてそれは確かに何かを運ぶもの、運んでしるしを結ぶもの (中略)
言葉は生けるもののように生命を育んで力を生み出しているのです。 〈中略)
ここに綴る言葉の群れがひとつひとつ魂を抱いて、
あなたの生命の余白に何ものかを運んでくれるのを願います。

- 高橋佳子先生「生命の余白に」より抜粋 -

私はこの言葉に出逢ったとき、魂を射ぬかれたような感動を覚えた。
3才の頃より、父親のげんこつにこずかれながら
書を専門とする道を歩んだ私にとって、
言葉の持つ意味、力を「前衛書」に現すことが、
長年の表現の中心であったからであろうか。
高橋先生にこの言葉の使用許可を願い出て、
早速「生命の余白に」シリーズに入って行った。
日々の生活の中の生命の余白に、我々は、何を聴こうとしているのだろうか。
今も、この美しい言葉の響きと意味の深さに惹かれ続けている。

 



「サイレントコーリング8」
32×32㎝
ミックスメディア
一切を記憶し、一切を見遥かす宇宙の叡智、
そして生きとし生けるもの、ミクロからマクロにいたる あらゆるものから届けられているサイレントコーリング。
その幽けき声に耳を傾け、聴きわける自分に、憧れを抱いて・・・。


 



「イデアの記憶5」
45×55㎝
ミックスメディア
水中花 水中雲 石中火 土中金

仏教の中にある美しい言葉が私を導く

春には大木に 桜が満開となり

水は雲となり 天高く登り

石は太古より 命の火を燃やし

土には 眠りたる黄金が輝く

森羅万象に秘められた力と美

未知なるイデアを求め

ひとつ ひとつが

イデアの記憶をひも解いて輝く

 



「ジェネシスの風6」
32×32㎝
ミックスメディア
アラスカ、アンカレッジ。
郊外へ2時間程走ると、巾6.5キロ、奥行き40キロに及ぶマタヌスク氷河が、広大に広がっている。
それは原初の息吹と共に何億年幾万年もの時を刻み、 今も氷解と凍結を繰り返しながらゆるやかにそこに存在している。
数多くある氷河の中で、ここは唯一、観光でも氷河の上を歩くことが出来る場所である。

巨大なぶあつい白く蒼くどこまでも透き通ったアイスの壁、 恐ろしいばかりに底深く透けた氷河のクレバス、氷河の中に生まれた真っ青に透きとおる湖、 そして空の碧との対比はこの世の風景とも思えず、創世記の風が吹き上げてくる。

 



「人間讃歌4」
30×30㎝
ミックスメディア
私はある時、立体ムービーを見ている様な感覚で、
人間の幾万の様々なムーブメントの影が 動いて行く姿を一瞬のうちに見る体験をしました。
それは、走る姿、歩く姿、腰を降ろしている姿、 思い思いの力強い姿の「瞬間立体図」。
この映像により、×印や、引っかいた無数の線は、
もっと実感と実態をもって私に呼びかけ共鳴してきました。
大いなる存在、大自然の中に生かされる人々の集団、 人の営み、喜怒哀楽、さざめきあう優しさと喜び、 人間が生き挑戦する力強さなどが、歓びをもって生き生きと感じられ 「人間讃歌」の想いが、湧きあがってきました。